動物実験で網膜の視細胞再生に成功
「傷ついた網膜に特定の酵素の働きを阻害する薬を投与すると、光を感じる視細胞が機能回復に十分な数まで再生した」とのマウスとサルの細胞実験結果を、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)と京都大の研究グループが、米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに発表した。
網膜の再生は、視細胞が消失することで起こり、高齢者の失明の主因とされる加齢黄斑変性や、網膜色素変性などの治療に役立つと期待されている。
網膜の「グリア細胞」から少量の視細胞が再生されることは知られていたが、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターなどは再生の過程で働く「Wnt(ウィント)3a」というタンパク質を意図的に加えることで、相当量の視細胞の再生を確認したという。
マウスを使った実験では、培養したグリア細胞を傷付けた上で、Wnt3aを投与。その結果、視細胞は7日間で通常の20倍再生した。
Wnt3aによって細胞内でGSK3βという特定の酵素の働きが抑えられることが既にわかっており、この酵素の阻害薬を投与すると、同様に再生が促進された。薬にする場合は、Wnt3aより酵素阻害薬の方が容易だという。
理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの高橋政代チームリーダー(眼科学)は「従来の再生医療において考えられている細胞移植ではなく、より患者への負担が少ない投薬による再生医療の道が開けた」と話している。今後、視細胞の再生によって実際に視力が回復するかどうかを確認した上で、視力回復治療法としての有効性を探るという。
情報提供元: 神戸新聞Web News